マスコミ他がながす緑のダムの効能のウソ(日本で)

緑のダムがあれば灰色のダムは要らないか?
答えはNoである.ただ,新しいダムは要らないか?といわれれば要らないかもしれないしいるかも知れない・・・

まず,日本で緑のダムが灰色のダムの変わりにならない理由であるが,答えは比較的簡単で緑のダムは新規に作る事が難しく,灰色のダムは作る事が可能であるという事である.
現在日本の国土の約70%は森林であり,これ以上緑を増やす事は困難である(プチトリビアですが,日本の森林の約40%は針葉樹林,という事は日本の国土の約28%は針葉樹林ということになります).
一方灰色のダムも大きな場所を作るところはあまり無いが,まだ小さいものは作れるし,作るとその分治水や利水に役立つ.
さらに,もし灰色のダムが無かったら今の治水・利水体制は崩れる.緑のダムは中規模の雨に対して治水機能を発揮する.しかし,洪水になるような大雨に対してはあまり機能しないことが知られている.これは緑のダムの回(http://d.hatena.ne.jp/aozorairo/20040509#p7)に書いた治水機能の部分(土壌に水がたまる・葉っぱの表面に水がたまる等)の限界が小さいことに起因します.一般に洪水といわれる大量の降雨に対しては緑のダムは非力であるといわれています.利水(水資源)に対しても土壌は地表1mくらいしかなく限られた量しか水貯留できない.また,植木に水をやることからわかるように,森は水を消費するので雨が降らない期間が長くなればなるほど土中に貯留されていた水は目減りしていくのだ.だから利水という面からも十分とはいえない.
緑のダムはあくまではげ山と比べてであって,今の日本のように豊かな森林を持っている国では,理論的なものであって社会インフラ整備の代わりにはならない.

よって灰色のダムが要らないというのはマスコミが吹聴したウソである.