0.02mmを実現せよ!(仮想プロジェクトX)

aozorairo2004-08-29

別に航空関連ではないです.あくまで俺の中での分類なのでw
岡本巳之助の事を知っているだろうか?NHKプロジェクトXで取り上げられるべき経歴・実績を残しながら,おそらく取り上げられる事のない男の事を・・・.岡本巳之助でぴんとこないのならば・・・岡本ゴム工業は知っているだろうか?そろそろ あーと思い出したヤローどももいるはず・・・その おかもと!見たいなねw
現オカモトの創業者です.まだわからない人のために言って置くと,世界的に有名かつダントツの技術をもつ有数のコンドームメーカです.もっとも,ゴムメーカーとしても比較的大きくてインフォシークで検索すると

コンドーム首位。プラスチックフィルム、建装・産業資材、スポーツ靴に展開。高級紳士靴進出 

だそうだ.前置きが長くなったけれども創業記のメモ

いち早く再建に成功した岡本ゴム工業には、優秀な人材が自然と集まってきた。
いくら中堅ゴムメーカーといっても、実態はコンドーム屋である。
メシを食わしてもらえる。それだけで、今まで寄りつきもしなかった旧帝大出の研究者が会社の門を叩いてくるのだ。戦後の混乱期、こうして集まった優秀なエンジニアたちが、その後、岡本ゴム工業を世界的な企業に成長させる力となっていく。
[...]
しかし、他の大手ゴムメーカーは踏ん張りきれなかった。
昭和二十五年、理研ゴムが破綻した。さらに昭和二十九年、旧三井財閥の日本ゴム工業が経営不振で破綻寸前になった。
http://www.okamoto-condoms.com/eiko/p17.html

岡本巳之助が世界初のラテックスコンドームを作り,業界大手にのし上がった.巳之助のエンジニアリングセンスでこれからは,手工業ではなく大量生産の機械工業だと(コンドームはそれまで手作業で作られていた)機械化を推し進めていたのと,コンドームは原材料が少なくても作る事ができるという特性から戦後岡本ゴムはいち早く再建できた.それに対し他のゴムメーカーはGHQによる財閥解体などにより,母体から切り離された上で景気の不安定さや物資不足などで急速にその力を弱めていった.そして,巳之助はこの2社の救済へ乗り出すこととなる.結果っ的にこの2社を建て直した上で吸収し岡本ゴム工業は岡本理研ゴムとなる.

0.04ミリの巨大な壁
http://www.okamoto-condoms.com/eiko/p25.html
実際、世界中のコンドームメーカーで、0.05ミリの商品をつくることができるメーカーは数えるほどしかない。そのすべてが日本のメーカーで、しかも0.04ミリのコンドームをつくる技術は、今のところ、岡本理研工業だけだった。
その技術を開発したメンバーをして、「0.04ミリ以下は不可能」と判断せしめたのだ。[...]
なぜ、0.02ミリだとダメなのか?理由は簡単だった。
ゴムの粒子は球体の分子なのだ。丸いボールがビッチリと並んでいる構造を考えればよくわかるが、丸い粒子は接する面が小さいために、もともと結合力が弱い。当然、薄くしていけば、球体と球体の間にすき間ができる。ある一定以上の薄さになると、ここから穴が開いてしまうのだ。

プロジェクトXでいう 何々は頭をかかえた.家に帰ると家族は寝ていていつも冷たいご飯を食べていた.みたいな所ですなw

ふだんから「仕事が趣味」といってはばからない巳之助も、ゴルフの厳しさ、自己抑制、マナーが、ビジネスにあい通じるものであると感じ、社員に推奨していた。
http://www.okamoto-condoms.com/eiko/p27.html

話はちょっと変わるんですが,自分をいかに律して仕事をしていくか.これが,できる社員が多い会社は良いですが・・・

「このコンドームの不良品率は諦めよう。薄さが半分になれば単純計算で材料費は半分しかかからない。それで値段を倍にすれば、じゅうぶん採算ベースに乗るはずだ」
http://www.okamoto-condoms.com/eiko/p31.html

試作品は完成!!でも,不良品率が異常に高い.でも・・・ 

かくて世界を驚嘆させ、「東洋の神秘」と謳われた0.03ミリ「スキンレススキン」は、昭和四十四年、販売が開始された。もちろん、発売当初から爆発的なヒットを記録。下降気味だったコンドーム使用量を押し上げていった。
彼らは人間の〝欲望〟に勝ったのである。
http://www.okamoto-condoms.com/eiko/p33.html

プロジェクトXならそろそろ終わる頃・・・でもまだ続きますよ!

エイズ問題によってピルが主流だった欧米人の性交渉の習慣は変わり、コンドームの使用量が急増した。オカモト製コンドームは高い評価を受け、順調に輸出を増やしてきた。だが、そのことが、欧米の巨大ゴムメーカーの怒りを買い、オカモト排除へと向かわせたのである。
欧米主導のISOは、事実上、○・○五ミリ以下のコンドームを締め出す決定を下す。日本で二十年、使用して問題がなかった○・○三ミリのスキンレススキンを「規格不十分」と市場から駆逐した。平成十二年(二○○○年)のことだった。
http://www.okamoto-condoms.com/eiko/p34.html

お決まりのパターン.まぁ 結局欧米メーカーは逆襲にあうんですが.

それを社員に、会社に、伝え遺したのが岡本巳之助だった。
「発想は単純明快に、決断したら発想どおり邁進しろ」
経営者ではなく、一人の技術屋であろうとした男がいた。
「儲からない仕事が一番儲かるのだ」
http://www.okamoto-condoms.com/eiko/p35.html

戦後、世界が絶賛したメイド・イン・ジャパンの商品は、決して派手で華やかな職業の人々がつくり出してきたわけではない。地味で苦しく、はてしないトライ&エラーの繰り返しから生み出されたものではなかったのか。
http://www.okamoto-condoms.com/eiko/p36.html

この最後の2つを引用したいがために長々と・・・
「儲からない仕事が一番儲かるのだ」はニッチの問題である事は間違いないものの,やはり,こつこつ 儲からなくてもそこに需要があるならば本気で取り組まなければならない.取り組むからには本気でという事で,航空のローカル線につながるなぁと思ったり(かなり強引)