新潟水害レビュー

今年の水害ラッシュの一件目ですが・・・学会誌に面白いレビューがでてたのでメモ

2004(平成16)年7月13日新潟水害の速報
土木学会誌2004年9月号 pp045-pp048 大熊孝
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今回の洪水は,計画規模を大きく超えるもので,防ぎきれるものではなかった事は明らかである.しかし,水死者をだし,復旧の困難な壊滅的被害を集中させた事は,今までの治水のあり方について強い反省が求められる.計画を超える超過洪水の発生がありうるという観点に立つならば,もっと被害を分散・軽減し,被害の集中を避ける治水計画もありえたのではないかと考える.換言すれば,日本の河川工学がいまだ未熟であるという事である.

確かに,超過洪水はありえる.で,超過洪水が来た時にどうするか,どうなるか,あらかじめどうしておくか・・・ということは,河川工学の仕事か?という素朴な疑問がある.これは 都市工学や都市計画学の仕事ではないのか?もちろん境界領域である以上,河川屋もいなきゃいけないけれども,土俵はこっちではない気がする.どちらかというと

今回のように急激な破壊でなく,避難する時間が稼げるぐずぐず崩れる堤防にすることが必要である.

こっちは 河川屋の仕事ですね.都市に対してどういう境界条件を渡すか,その境界条件をいかに低リスクにするかが河川屋の仕事だと思うんだけどどうですかね??

1997(H9)年の河川法改正で明記された樹林帯(今回も,もし破堤地点に樹林帯があれば,土砂をろ過・沈殿させ 被害を相当軽減できたのではないかと考えられる)

たしかに,河積が現状あって,その上でそれ以外に樹林帯があればいいけど,現状に樹林帯を作ると河積が不足するのでは?とどうしても思ってしまう.今回,破堤した川だけでなくほとんどの川が河積ぎりぎりで,堤防を作ったりしている現状を考えると直ちに実行するのは無理な気がする.

いずれにしろ,この両破堤からの教訓は,堤防が高くなればなるほど,破堤した時は強い破壊力で被害が甚大となるということであり,破堤は起こさせてはならないという事である.[...]

これは,間違いないですね.ただ,計画洪水流量をどのくらいに見積もるか・・・ 今のように150年とかそれ以上にするのか. それとも 80年とかにしておいて 一生に1回か2回くらい洪水にあうような設計をしておいて 避難を早くして,人的な被害のゼロ化を目指すとか・・・
どうしても たまにだと被害が大きくなるから.