倒れている人を見つけたらどうしますか?

会社の通信票に使った文章を再利用。


ダイバーとしてSkill Upをしていく中で他人を助けるSkillが必要になり講習を受けた事があります。要救助者が発生したときに、救急車や医者などのプロのところにたどり着くまでに、我々素人が処置をしてより生存率をあげる方法としてMFA: Medic First Aidというものがあります。このMFA、発祥の地がアメリカということもあって考え方が物凄くDRYですが、その一旦をお伝えできればと思います。そこで、今回のおまけは、MFAのFirst Action、「倒れている人がいたら??」です。


 MFAにおいて何よりも最優先されるのは、救助者の身の安全です。当然といえば当然ですが、一人を助けるのと二人を助けるのでは必要な労力が大きく異なるので、二次災害を防止する観点から、一人で助けられない時は助けなくてよし!となっています。しかし、この判断が一番難しいと思います。
CASE1 「人が倒れている」
表題にもなっている「人が倒れていたらどうするか」、この事態の正しいFirst Actionは“良く見る”です。なんだー、当たり前ジャンと思ったあなた、侮ること無かれ。これが、物凄く重要でかつ、深遠なMFAの入り口なのです。
昨年末、「硫化水素ガスで母子3人死亡、父重体 湯沢・泥湯温泉」というようなニュースがありました。覚えておられる方はいらっしゃるでしょうか?結局、お父さんもお亡くなりになりましたが、この事故は、温泉地で遊んでいた子供が雪で出来たくぼみに落ちたボールを取りに行き有毒ガスによって倒れてしまった事が死の連鎖のきっかけになってしまったというものです。子供を助けに行ったお母さん、お兄ちゃん、お父さんが次々と雪のくぼみの中で倒れたという事故でした。
倒れている人がいたら、まず周辺を良く確認してください。ひょっとしたら床がぬれていて近づくと感電して2人目の要救助者にあなた自身がなってしまうかも知れません。ニュースのようにガスなどによって意識を失ってしまうかも知れません。ぜひ、倒れていた人をみつけたら安易に近づかない。「誰か他に助けを呼ぶ」を徹底してください。



CASE2 「人がおぼれている」
これから、暑くなって家族で海・川に遊びに行く事も多くなるでしょう。お子さんやお友達が溺れているのを発見したら、どうしますか?CASE1を参考にぜひ考えてみてください・・・。

最悪な答えはもうお分かりですね?「ドラマや映画のようにすぐに格好良く飛び込む」です。まず、周りに助けを呼んでください。そして、基本的に救助者は水の中に入ってはいけません。良く言われる事ですが、例え子供であっても「溺れるものは藁をもつかむ」その力は大きいといいます。大きな子供や大人であればなおさらです。
泳ぎが達者であるはずのダイバーですら、浮き具なしでは救助しに水には入りません。浮き具があれば、水面での人工呼吸の訓練などもしていますが、やはり溺れている人を助けるには無理があります。ですので、溺れている人を見かけたら1「助けを呼ぶ」2「ロープや浮き輪をつかって陸(船)から助けあげる」を徹底してください。



余談ですが、海上保安庁やプロのレスキューチームが、ロープも浮き輪もない状態で助ける場合どうするかというと、「意識を失うまで手を出さない」だそうです。力尽きてきた頃に手を出す。助けた後の処置に自信がないと出来ない荒業ですけど・・・。




幸いにも倒れている人に近づく事が出来たなら
次のABCDの順序で対処してあげてください。(ドレミファソラシドというのもありますが長いので今回はABCDにしておきます。)
A Airway (気道確保)
B Breathing (人工呼吸)
C Circulation (循環・心臓マッサージ)
D Defibrillation (自動体外式除細動)




最後に、ダイビングのインストラクターに教えてもらった、重篤な要救助者を救助した時の心構えです(心臓マッサージが必要なくらい重篤な場合)。
「もう死んでいるのだから、何をやっても大丈夫。胸骨を折ろうが(心臓マッサージが下手だと折れます)肺破裂しようが(人工呼吸がへただとなります)何もしなければ死体だから思い切ってやれ」だそうです。




不幸にも何かあった時、思い出してください。