どろぼうさん。 昔の人は厳しいね。

懐中時計
夢野久作
http://www.aozora.gr.jp/cards/000096/files/46823_27680.html
 懐中時計が箪笥の向う側へ落ちて一人でチクタクと動いておりました。
 鼠が見つけて笑いました。
「馬鹿だなあ。誰も見る者はないのに、何だって動いているんだえ」
「人の見ない時でも動いているから、いつ見られても役に立つのさ」
 と懐中時計は答えました。
「人の見ない時だけか、又は人が見ている時だけに働いているものはどちらも泥棒だよ」
 鼠は恥かしくなってコソコソと逃げて行きました。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A2%E9%87%8E%E4%B9%85%E4%BD%9C

夢野久作」の筆名は、かれの作品を読んだ父茂丸が、「夢の久作の書いたごたる小説じゃねー」と評したことから、それをそのまま筆名としたものである。「夢の久作」とは、九州地方の方言で、「夢想家、夢ばかり見る変人」という意味を持つ。