既存のダムの話

久しく更新してませんでしたが・・・http://d.hatena.ne.jp/aozorairo/20040215#p3で触れたコンクリートダムの欠点続きです.(前回はダムによる上下流の分断の話をしました.)今回は,分断以外のダムによる生態系への影響のお話です.
大きく分けて2つ

  • 水温
  • 中小規模の擾乱(洪水)の消失

が上げられます.まず水温について.
ダムは溜められた水のうちで低層近くにある水から放流します.お風呂とかで経験した事あると思いますが,たまってる水の低層は基本的に低温です(特にダムではあったまるのも上層からなのでダム内に温度躍層といわれる水温が急激に変わる水深がある).その低温の水が下流に放流されるので,春から夏にかけて河川水温が本来上がってくる時期にまだ,冷たい水が放流されて下流に住む生き物たちの生態リズムが狂うという問題点がある.近年はダムの中の水を攪拌する(ちょっと改善)や温度をみながら放流する水深を決める方法(だいぶ改善)がとられているが,根本的な解決には程遠い.
次の中小規模の擾乱の消失であるが,前回の時にダムを作る事によってなぜ水資源を有効活用できるのかを説明した.その中に,溜められる降雨は溜めて下流に流さないってのがあった.この溜める事ができる程度の降雨が中規模の擾乱(洪水)である.河川の底層には藻や底性生物がおり,彼らの生態戦略の中に擾乱への強さや擾乱からの回復の早さがある.この擾乱を取り上げる事は彼らの生態戦略の売りの部分を取り上げる事になり,中長期で見たときの生態系へのインパクトが大きくなる.

以上のことが上下流の分断以外のコンクリートダムの欠点であるが,これが上下流の分断と複雑に絡まって大きな環境インパクトを与えている事は紛れも無い事実である.

次回はいよいよ緑のダムです